琉球沖縄の時代と世代をつなぐワンテーマ・マガジン『momoto(モモト) 』副編集長でフリーライターのいのうえちずが、モモトの裏話を時に腹黒く綴ります。
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2011年12月01日

舞い上がりました。

昨日、「遊びに来ないか?」とおっしゃる崎間麗進先生宅へ。
遊びに行ったわけじゃないですよ。
次号で撮影する、花嫁衣裳のことで相談に行ったんです。


「ちずは、マスコミの連中もよく知ってるのか?」
「うーん、そんなに顔が広いほうじゃないですよ。何名か知っている方はいます」
「昨日、某地元紙の記者が方言のことで取材に来ておったんだが」
「先生、お忙しいですねー」
「ところで、momotoの方言の捉え方は、いいね」
「うひょー♪ありがとうございます」
「今時分のマスコミはデタラメだ。
某テレビ局でも『おじいもおばあもにーにーもねーねーも』なんて放送しているが、
あんなものは方言ではないよ」
「おじい、おばあという表現は失礼ですよね。私は極力使いません」
「そう!年寄りはおじいおばあと呼ばれるのを嫌がるよ。
僕なんかは、なにか、イヤミを言われているような気になる。
それでね、新聞記者にmomotoを見せて、
『この本の方言の使い方はすばらしい。あんたがたもこんな風にしなさい』
と言ったわけさ。むこうは『いのうえさんですか』と、すぐあんたのことわかりよったよ」
「うひゃー!うれしい!先生、ありがとうございます!でもあげるもの何もありませんよ」
「ちずは、知の継承と書いただろう。あれこそ、僕の言いたいことなんだ」
「はい」

先生は若い頃、本を読むのに大変苦労した。

だから収集した本を売ってくれという古本屋さんには売らなかった。
若い人たちが自分のような苦労をしなくてすむように、
勉強したい次の世代の誰もが、借りて読める図書館に寄贈したいと考えていた。
だから、牧志駅前に新しくほしぞら図書館ができると聞いた時、
何千冊もの本を寄贈されたのだ。

90歳の今も、週に一度琉球大学で教えているのも、
あらゆるジャンルにわたる知識を、次の世代に伝えたいから。

そのうち、先生も鬼籍に入るだろう。
そうなったら、なんちゅうもったいないことか。沖縄の損失だと思う。
今のうちに、先生の頭の中にある「知」の断片に、少しでも触れておきたい。
私が先生にいろんなことを聞いて得る、たくさんの「!」を読者の皆さんと共有したい。

それで出たのが「知の継承」という言葉だった。
先生にそんな風に評価してもらえるとは、書き手冥利に尽きます。

というわけで、昨日は舞い上がったのでした。


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Posted by いのうえちず。 at 11:32│Comments(0)momoto
 
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